【皮膚とは何か】
1、皮膚とは身体の生命活動を守る”袋”
皮膚の構造と働きを理解するためには「皮膚は身体を包んでいる大きな袋」とイメージすればいいでしょう。この袋は身体の生命活動を外部環境から守り、生命活動に適した状態に保つ、”保護”という役割を果たしています。
暑くなれば汗腺から水分を出して体温を内部の生命活動に最適な温度に保ち、細菌からはphを弱酸性に保つ事によってその侵入を防ぎ、危険物からは、痛み、灼熱感などを感じる事で避ける事ができるようにするなど、すべての身体の生命活動を守る役目を果たしているのです。
しかも皮膚(袋)は、買い物袋の紙やポリエチレンの袋と違って、袋自身が生きており、1つひとつの生きた細胞から作られています。この袋は、自分自身で約4週間を周期に生まれ変わり(皮膚のターンオーバー)、新しい袋として再生します。新しい袋になる事によって、また単なる保護皮膜ではなくさまざまな生理作用を行う事で、保護力を高め外部環境に対応し内部の生命活動を守ります。
☆皮膚の生理作用
《対外保護作用》
1、物理的外力あるいは化学的有害な刺激に対して生体を保護する
2、紫外線障害からの防御
3、微生物の侵入からの防御(弱酸性ph=5.5〜7.0)
4、水分(及び電解質)が失われるのを防ぎ、体内の液体成分の保持
表皮の保護作用は規則正しい完全な角質細胞層の防御壁によっている。この角質細胞層はケラチン主体の扁平な硬い角質細胞とそれらの細胞を膜状に取り巻く「細胞間脂質」と角質細胞にある「水溶性成分(NMF:Natural Moisturizing Factor-天然保湿因子)」との共同による防御作用を行っている。
薄板状の角質細胞は隣の細胞と重なりあって規則的に配列しており、すき間ない層を作っている。
「細胞間脂質」は、セラミド、コレステロール、脂肪酸などの脂質であり、角質細胞間に広がっていて、密着させて細胞のはがれを防いだり、膜の間に水分をはさみこんで逃げないようにする働きがあると考えられている。
「NMF]はアミノ酸、乳塩酸やピロリドンカルボン酸、尿素などの成分からなり、水分を保持する働きが大きい。
NMFは顆粒細胞が角質細胞に分化するときにつくられ、角化作用が正常であると保護作用のしっかりした角質層が作られる。皮脂腺から分泌され、皮膚表面を覆う皮脂膜も保護作用がある。しかし、皮脂膜は酸化されやすく、特に紫外線を受けると過酸化資質にまで変質して皮膚に悪影響を与える事もある。
《体温調節作用》
1、発汗による熱の放散は、体温調節に重要な役割を果たす
2、外気温の直接の侵入を防ぎ、寒冷時血管収縮による熱放散の防止など温熱・寒冷からの防御を行う
《知覚作用》
《分泌・排泄作用》
1、汗腺から汗(水分など)が皮脂腺からは皮脂が分泌され交じり合って皮脂膜を形成する
《吸収作用》
《ビタミンD合成》
☆ターンオーバー(角化)
皮膚の最も重要な生理的な働きは、さまざまな外からの刺激、乾燥、紫外線、その他の物質、科学的な刺激に対しての防御壁になる角質細胞層を作ることである。表皮は基底細胞層で細胞分裂をした後、特徴のある細胞に変化しながら表層へと移動して、最終的に角質細胞になる。この表皮細胞の分化の過程を「角化作用」と呼んでいる。
角化細胞は次に作られ続けるが、最下層の古い角質細胞が剥がれ落ちるので一定の厚さの層を保っている。このように、常に新しい細胞層に置き換わることを「ターンオーバー」(角化)といい、部位や年齢によっても異なるが、そのサイクルの期間は約4週間といわれる。
異物の侵入や角質細胞層が壊されたりすると、敏感に反応して基底細胞の分裂が盛んになり、ターンオーバーの速度も上がって異物を追い出したり、角質細胞層の修復に当たる。刺激が繰り返されると角質細胞層が厚くなる。
ターンオーバーが速すぎると、完全な角質細胞になる事ができずに、角質細胞層は通常より小さな厚い細胞の不規則な層になる。このような角化を「不完全角化」といい、防衛壁の働きも不完全になる。角質細胞に核がなくならない「有棘細胞」(パラケラ)になる場合は「肌荒れ」状態になる事が多い。
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