歓楽紅酒呑記【テイスティング雑記】
「シャンパンハウス リュイナールのすべて」(2004.2.25)
| 日本ソムリエ協会の京都・滋賀例会で、あの"シャルドネハウス"リュイナールのテイスティング会に行って参りました。 まず、リュイナールというのは世界最古のシャンパーニュ醸造所であり、18世紀初頭にベネディクト派の修道僧ドン・リュイナールがワインの瓶内二次醗酵を知り、それを甥に伝授して翌年1729年にボトルで出荷されたのがリュイナールの初のシャンパンです。あのドン・ペリニヨンで有名なモエ・エ・シャンドン社に先んじること18年です。 リュイナールの看板は”R”(エル)・ド・リュイナールですが、今日はそれが飲めるのも兎も角、幻のドン・リュイナールラベルが試飲出来るというので、仕事を休んでまで(笑)行きました。 場所は京都大学時計台記念館内「レストラン ラ・トゥール」。午後15時〜17時、68名の講習でした。 試飲したのは以下の6点のレンジです。 ◆リュイナール・ブラン・ド・ブラン ◆”R”ド・リュイナール・ブリュ ノン・ミレジム ◆”R”ド・リュイナール 1995 ◆ドン・リュイナール・ブラン・ド・ブラン 1993 ◆リュイナール・ロゼ ◆ドン・リュイナール・ロゼ 1990 さらに、この頂点にレクスクルージヴ・ド・リュイナールというブランドがありますが、こちらは小売希望価格が200,021円というドンペリ・ピンクなんてケーッ、ていう感じの価格でして、試飲は残念ながらありません。しかし、会場の真ん中にデデンと鎮座ましましておられて格の違いと圧倒される存在感を見せ付けられました。勿論、それを見たいために私は最も中央よりの席に陣取ってました(笑)。 ◆リュイナール・ブラン・ド・ブラン (シャルドネ100%) いうまでもなく、ブラン・ド・ブラン(白の中の白)のその名のごとく、優雅で繊細の一言に尽きます。 香りはシャルドネ独特のブリオッシュやフレンチトーストぽいバターのような香りとアーモンド香、と講師の先生は言っておられました。私はアーモンド香が最も強いように感じましたね。色はごく浅い藁のような色です。寒冷地で取れるブドウをここまで香り豊かに出来るものかなぁ、と感心します。アタックは滑らかで爽やか。泡のきめ細かさが、優美です。グラスの中を小さなダイヤモンドが連なって生まれている、その液体を飲んでいる贅沢さ! スズキや舌ビラメなどの白身魚などに合いそう。中華ならピータンや酢クラゲ。供出温度8℃くらいが最適。 ◆”R”ド・リュイナール・ブリュ ノン・ミレジム (シャルドネ40%、ピノ・ノワール60%の内ピノ・ノワールの25%はリザーブワイン使用) まさしくリュイナールの顔に相応しいシャンパンですね。ブラン・ド・ブランよりはアタックが強く、泡もやや大きめな印象ですが、これはピノ60%の仕業。リザーブワインというのは、そのワインの品質を一定に保つ為にアッサンブラージュ(混入)するものです。いわば、これぞこのメーカーのワイン、という味を示す指針を担っているのですね、この”R”ラベルは。 色はやや黄金色。香りには洋梨やリンゴ、白桃のような黄色い果実のイメージが湧きます。ピノのコクと酸味が素晴らしく生きていますね。供出温度8〜10℃くらいが最適。 ◆”R”ド・リュイナール 1995 (シャルドネ48%、ピノ・ノワール52%) 上記のレンジのヴィンテージ物です。シャンパンは基本的にリザーブワインをアッサンブラージュするものでヴィンテージは不要なのですが、特別にブドウの出来がいい年にはヴィンテージを作ります。 ノン・ミレジム(ヴィンテージでない普通のシャンパン)の物と比べると、さらにパンチが効いた味わいで、黄金色も濃く、フルボディのリッチなシャンパンです。ブラン・ド・ブランが金髪の可憐な乙女ならこちらは成熟したオトナの女性という感じ。供出温度10〜12℃くらいが最適。 ◆ドン・リュイナール・ブラン・ド・ブラン 1993 (シャルドネ100%の内、65%はコトー・デ・ブラン、35%はモンターニュ・ド・ランスの特級畑を使用) 明るい黄色、または微かに緑エッジにかかった色彩。ドン・リュイナールのレンジはヴィンテージ物だけです。最良の年に最良のブドウを使って出来た逸品。飲む芸術、フランスの朝空に掛かる雲が陽光を反射する微妙な色を溶かしたらこんな感じだ、と思ったシャンパンです。フランス行ったこともないのに(笑)。供出温度8〜10℃くらいが最適。 ◆リュイナール・ロゼ (シャルドネ45%、一級畑のピノ・ノワール55%内18%はオーブ県産の特級畑で醸造されたものをアッサンブラージュ) 薄紅の桜の花弁を思わせる色調に、最初に香るのはイチゴやフランボワーズの甘い香り。黄桃のようなニュアンスも感じられます。フルーティな夢のような香りですね。アタックは柔らかく、とても酸味とコクのバランスが取れた舌触り。春に相応しいシャンパンです。供出温度10〜12℃くらいが最適。 ◆ドン・リュイナール・ロゼ 1990 (特級畑シャルドネ85%、特級畑ピノ・ノワール15%) これがロゼ?というような驚きの色です。オレンジ色、カリン酒のような色。赤銅色といいましょうか。香りは複雑でサクランボのようなスモーキーな、杏のようなさまざまな香りがミックスされています。目を閉じてこの香りだけ嗅いだら、まるでブルゴーニュ(ヴォルネイに近い?)のような趣さえありました。味わいはきわめてしっかりしたフルボディ。かつデザートにも合いそうな。ディジェスティヴ(食後酒)としてタバコと一緒に、という楽しみ方もあるようです。供出温度10〜12℃くらいが最適。 というのが、主な感想なのですが、個人的には最後のドン・リュイナール・ロゼ1990が最高ですね。ロゼってイメージ的にも軽いのであまり好きではなかったんですが、これはオトナの飲み物だ、と思いました。オトナにしか許されない味わいの余韻、ぐんぐん口腔の奥で高まるドキドキ感。そのまま会場でくるくる回って踊りたい、『王様と私』のような気分です。と表現すればいいのでしょうか(笑)。 このシャンパンを飲んで「ウマイ」と軽く言うには私の舌ではまだまだ青過ぎるなぁ、と感じました。 それと、会場と外の気温が高かったのでサービス温度は最初に注がれた時、8℃くらいからだったのですが、しまいに18℃という赤ワインに最適なくらいの温度になってました。それでもシャンパンとしてのフレッシュさとクリーミィな泡、味わいを失くさないリュイナールのすごさにビックリ。何といってもこれがイチバンの驚きです!初夏のガーデンパーティでもいけそう? どれも本当に美味しかったです。この感動はやはり飲まねば味わえない。誰かに言葉で伝えるなんて、とてもとても、といいつつ雑記にしてしまいました。 しかし、本当はテイスティング講習なので味わって吐器に吐き出せばいいのですが、勿体ないので全部飲みました(笑)。 |