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きょうの降水確率、70%――――





                   
       言葉てにが降る






【妙高がいれば、天気予報なんざ要らねぇな】

今日は朝から武蔵にそう言われたので、僕は気分がよかった。
これで僕の言った通り雨が降れば、鼻が高い。



80%より上の確立なら、雨が降るのは確実だ。まぁ今日は70%だけど。
いつもの話、ということで。
なのに、どれだけ言っても傘を持って来ない奴もいる。
ありえないね どうかしてる。



きっと 僕への挑戦状なんだ



僕のデータの正確さを認めたくないんだろ どうせ。
今日だって、そうだった。
折角メールまで送ってやったのに。



(メールアドレスはデータ収集して手に入れたものではない。念の為。
  僕だって頑張ればメールアドレスくらい本人から聞き出せるのだ)














【お前さぁ、いちいちウザ気なんだけど(`、´#)
 これ以上降水確率メル送って来るようだったら、俺 お前のメアド消すからな(`д´)q”】














あ り え な い 。

雨に濡れて風邪ひいても知らないぞ。
ま、日頃あんな格好で生活してて平気なんだから、その確率は0%に限りなく近いけれど。

本当に人の厚意を何だと思ってるんだ。










「あ」









ほら、雨が降ってきた。

僕は傘を差して歩き出した。






次の曲がり角を曲がったら、朱牡丹 録が座り込んで雨宿りしてる確率は78%、
雨に濡れて歩いている確率20%。

あとの2%は、いない確率。
いるとしたら絶対雨に濡れてるよあいつ。

だってあいつ 傘持って行かないし。 意地だね、意地。

いつもこのぐらいの時間にこの辺りにいるから 2%はありえない。















―――ほーら、いた。














思った通り、朱牡丹は座り込んでいた。携帯をいじくっている。
ほら見ろ。僕の言ったとおり 傘を持ってけば、こんな事しなくて済んだものを。


「雨、降っただろ?」
「だから何だよ(`、´#)⊃」


僕が見下ろしていると、朱牡丹は顔を上げて 僕を睨んだ。



髪が濡れている。



「ねぇ いい加減僕のデータ信用したら?髪びしょびしょ。ありえない」



捨て猫みたいだ。



「うるさいな。俺は無駄なモン持ち歩くのがキライなんだよーだ(`ヘ´メ)」
「ふーん、傘って無駄な物なんだ。今までそんな事言った人いなかったぞ。新しいデータを有難う」


フン と、朱牡丹は鼻を鳴らした。


「大体、天気予報なんて携帯でも見れるんだぞ!データばっかとってる機械オタクの癖に、
 そんな事も知らなさ気なの?ププッ、バッカ気―――!(`∀´)ノ””」





カチン。





雨に濡れて こんな所に座り込んでる癖に。
何言ってんだろ、コイツ。

ほんとありえない。
あーもう風邪ひく前にスリップ車に轢かれて死んじゃえ。



「…お前って本当ありえない。いつか僕のデータの凄さを思い知らせてやる。叩き込んでやる。認めさせてやる。」



…なーんて。
ここは歩行者専用道路。
こいつがスリップ車に轢かれて死ぬ確率は0%なんだ。



そんな事をぼんやりと考えていたら、朱牡丹が僕の上着を引っ張った。
そして 立ち上がる。

朱牡丹の髪から、ぽたりと雨の雫が2滴程滑り落ちた。



「俺は、妙高のデータがどれだけ正確でも 自分のリズムで動くよ」
「……それでも僕は止めないから。」



お互い意地っ張りと言うか、強情。
武蔵みたいに、素直に僕のデータの凄さを認めて、それに合わせて効率よく動いたらいいのにさ。



「それに」



朱牡丹が髪を軽くしぼりながら言った。
なーんだこの性格悪そうな笑顔は。ありえないね。

(まぁ きっと水溜まりに顔を映したら、僕の方が性格悪そうな顔してるんだけどね)



「俺が傘持って来ないだろうって事くらい、妙高も判ってる癖に(`∀´)「 =3 」



そう言って、ぺろりと舌を出して 朱牡丹は僕の左手から
するりと折り畳み傘を抜き取って走り出した。



「じゃなきゃ、普通 2本も傘なんか持ち歩かなさ気〜!(≧▽≦)♪」



ばしゃばしゃと音を立てながら、朱牡丹は行ってしまった。
僕は傘を差して、呆然と立ち尽くす。

そして、気が付いたらつぶやいてた。









【ありえないよ】









こんな下らない遣り取りを、

僕らはもう数え切れないほど繰り返している。