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それは…

不思議な気持ち。

 

でも…

キライじゃない気持ち。

 

 

 

 

初恋

 

 

 

 

ザーザーと音を立てて降る雨。

雨は好きだけど…突然の雨はイヤ…かも。

今日は傘を持ってきてないから…帰れないかも。

 

 

「困ったかも…ネコ神様。」

「……困ったにゃ-。」

昇降口に座り込み、ネコ神様とお話する。

でも…雨は一向に弱くなってくれない。

 

 

…図書室に寄らずに早く帰ればよかったかも。

そうしたら…凪ちゃんやもみじちゃんと帰れたかも。

雨に足止めされなくて帰れたかも。

 

 

 

 

 

 

「……あれっ?猫湖…さん?」

 

 

 

 

 

 

振り返ると…

頭にバンダナ。

赤い鼻、ほっぺ。

そばかすのある男の子。

見覚えのある子。

確か…

野球部の子。

一年生。

同い年。

いつも『サルノアマクニ』に巻き込まれてる。

投手。

名前は…

 

「………ね…づ…ちゅうの…すけ…?」

 

確かそんなような変わった名前。

 

 

「あっ!名前知っていてくれたんすね。」

にこっと笑う。

どうやら名前はあってたらしい。

 

 

「猫湖さんなにやってるんすか?こんな時間に?」

こんな時間?

あ…もう五時過ぎ。

時間が経つのは早いかも。

 

 

「………雨宿りしてる…かも。」

「雨宿りっすか?あ、雨降ってるんすか??」

気付いてなかったらしい。

こんなに音たてて降ってるのに。

 

 

「……なにしてたの?」

「へっ?あ、ぼくっすか?風紀の仕事で、倉庫にいたんで…。」

風紀委員…なんだかそれっぽいかも。

 

 

「……本当、雨ヒドイっすね。」

昇降口から乗り出して外を見てる。

あんまり乗り出すと濡れるのに。

 

 

 

 

「………あっ、これ…使うといいっすよ。」

 

 

 

 

ぼーっと外を見てたら、突然の声。

差し出されたのは…

折りたたみの傘。

 

 

「………かさ?」

「そうっすよ。あっ、穴とか空いてないっすから安心して欲しいっすよ。」

あははと笑う。

……そういう意味で言った訳じゃないかも。

 

 

「……使っていいの?」

「はい!!どうぞっす!!」

「……濡れちゃうかも。」

「えっ?あ、ぼくっすか?大丈夫っすよ!!」

「…………?」

「ぼくんち近いっすよ。」

「………でも………。」

「それに…ぼく自転車なんで…傘させないんすよ。」

「……自転車に乗りながらでも…傘はさせると思う。」

「…片手運転は危ないからしないんすよ。」

ちょっと困った笑い。

確かに…

いかにも交通規則守ってそうな感じがするかも。

 

 

 

 

 

 

「……それじゃ、気を付けて帰るんすよ!!」

 

 

 

 

 

満面の笑みで…

私に傘を持たせ…

昇降口を飛び出して行った。

 

 

 

遠ざかる背中を見送る。

何度も何度もさっきの笑顔が頭の中で繰り返される。

 

―笑顔―

ほんの一瞬しか見なかった、

見えなかったった。

走っていったから。

でも…

とても心に残る笑顔。

 

 

 

 

 

―ネヅチュウノスケ―

…よく考えると変な人かも。

こんなどしゃぶりの雨の中、

他の人に傘を貸す。

自分は濡れて帰る。

そんなことするなんて。

ううん…

 

………お人好し過ぎなだけかも。

 

あんなだから…『サルノアマクニ』に巻き込まれて大変な目に合うのかも。

 

………でも…キライじゃないかも。あの笑顔。

 

あんなだから…みんなに信頼されて巻き込まれているのかも。

 

 

 

 

 

 

 

「……ネコ神様…キライじゃないかも…ねづ…ちゅうのすけ…のこと。」

「……確かに、いいやつだにゃー。」

「………うん。」

ネコ神様と、

渡された傘を抱きしめ、

昇降口を出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その傘で雨の中を歩くのは…

いつもの傘で歩くより…

楽しい…かも。

 

この傘を見ると。

あの時の…

満面に浮かんだ笑顔を思い出す。

 

なんだか…

心がぽかぽかする。

 

不思議かも。

 

どうして?

いつもの傘で歩くより楽しい?

 

どうして?

心がぽかぽかする?

 

どうして?

ネコ神様?

 

 

 

 

「………そのうちわかるにゃー。」

 

 

 

 

それ以上は教えてくれない。

なんで?

 

 

 

 

「…それは檜が自分で答えを導きださなきゃならないにゃー。」

 

 

 

 

…私が答えを導く?

全然わからない…かも。

 

 

 

 

「……始めから答えを知ってる奴はいなのにゃー。」

 

 

 

 

みんなこんな気持ちになる?

みんなこの気持ちの答えを導き出した?

 

 

 

 

「焦ることはないにゃー。檜は檜らしく答えを導き出すにゃー。」

 

 

 

 

私らしく?

でも…

どうすればいいか…わからないかも。

 

 

 

 

「………檜は今どうしたいにゃー?」

 

 

 

 

今?

お礼が言いたい。

急なことすぎて…言えなかった、

お礼が言いたい。

 

 

 

 

「…じゃあそうすればいいにゃー。」

 

 

 

 

お礼を言えば…

この気持ちの答えが導き出せる?

 

 

 

 

「…導き出せるかもしれないし、出せないかもしれないにゃー。」

 

 

 

 

…むずかしいかも。

 

 

 

 

「……大丈夫!!少しずつ導き出せるにゃー。」

 

 

 

 

そうかも。

少しずつでもいいから…

導き出したいかも。

 

知りたいから。

この不思議な気持ち。

心がぽかぽかする気持ち。

 

 

 

 

キライじゃない…この気持ち。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――END――

   ★卯月美央菜さんのコメント★
 ねこねづ小説どうでしたでしょうか?バトミス小説以外初めてのミスフル小説です。
初めてまともに言葉を交わした二人。優しさと笑顔で恋心が芽生えた檜ちゃん。でも、本人はわかっていない。その気持ち。
てな訳で、『初恋』というタイトル付けました。

 今回は珍しく、タイトルを曲から取ってません。いつも曲から取ることが多いんですけどね。大抵曲の歌詞とかに影響受けて書くんで。

今回は、扇犬丸さんのサイトでキリバン踏んでゲットしたイラスト見て思いつき書いてみました。めちゃめちゃ初々しい二人だったんで…こんな感じの小説になりました。
そういうわけで、扇犬丸さんに奉げます。(うわぁ〜扇犬丸さんに迷惑な)

    ★犬丸からのコメント★
ああああ!!!もうっもう!!!卯月さんありがとうです〜!!!!いや〜もう嬉しくて涙出ます!!!
私のサイトでキリバン踏んで下さったのも感激なんですが、更に、それをきっかけに小説もらえるなんてvvvvうっきゃー★
すっごく嬉しいです今!!(にやにや)

もう、この小説読んだ日は、一日中顔がニヤけてましたよ…(死)
ずっとねこねづの事考えてました!!!はい!!!(告白)
この後、だんだんと仲良くなっていくんですね。檜ちゃんの初恋、とても可愛らしくて…応援したくなりましたv

卯月さん、ホントにありがとうです!!!これからもねこねづを応援していきましょうね!!

 ★卯月さんのサイトはコチラ!★

2002/05/06

 

 

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